音源IC コレクション
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今まで集めてきた音源ICのコレクションです。ちょっとレアな音源ICもあるかも。
かつての音源IC黎明期には半導体メーカーやキーボード・シンセサイザメーカ各社がこぞって音源ICを開発していました。複雑で魅力的な音色を作り出すために、各社は互いの特許侵害にならぬよう様々な方式の音源ICが考案されたようです。
なんだかんだでメモリ技術の発達により音源ICはサンプリング音源系に集約されていきました。
今の時代の機器に内蔵されている音源LSIは、ほぼほぼサンプリング音源系がベースとなっています。
各種音源ICの音色生成方式を大まかに区別すると以下のものがあります。
・PSG系
・波形合成音源系
・VCO+VCF系
・FM音源系
・サンプリング音源系
もちろんこれらに区分できないタイプの音源ICも存在します。音源ICによってはこれらの音源が複数内蔵されている物もあります。
初期の電子回路による音色生成は、アナログ回路が主流でした。音色波形の生成を行うVCOとその音色波形の周波数成分の振幅を変えるVCF回路を使うことで生の楽器では再現できない音色を生成できるようになりました。
ただし、ICの集積度もまだあまりない時代なので、回路規模は相当なものです。
次第にデジタル回路により任意の周波数の矩形波を生成する音源ICが登場していきます。
矩形波しか生成できないので、後段のアナログ・フィルタ回路によって様々な音色がつくられました。
有名なのものにPSGがあります。発音したい周波数をレジスタにセットすると、任意の周波数の矩形波が出力されます。
少したつと1つのチャンネルで複数の倍音を出せる波形合成音源ICも作れるようになり、音色の幅も一気に広がりました(MSM5232など)。ただ依然として1つのチップにデジタル乗算回路が組み込める規模には到達できなかったため、音量の時間的変化である音色のエンベロープはアナログ回路任せでした。
(PSGの場合は15個のFETによる電流加算方式、MSM5232の場合は外部のエンベロープ生成用コンデンサの充放電時の電圧によるVCA)
MSM5232より少し前に完全デジタル音源ICであるFM音源が誕生しました。かつてない音の多様性によりじわりじわりとシェアを広げたようです。
最初のころのFM音源回路の規模では1つのパッケージに収まらなかったため、複数のチップを多数使用していましたが、次第に1つのパッケージへと集約化されていきました。FM音源はYAMAHAが特許を握っていたため、ほかのメーカはFM音源と勝負できる対抗馬を用意せざるを得なかったようです。
MSM5232のような波形合成音源やデジタル乗算を波形位相の加算によって行う?(よくわからないが)ようなおもしろ音源ICが多く誕生しました。
このころが音源専用ICの最盛期でしたのでしょう。
ただ、これ以降はメモリ技術とデータ圧縮技術の目まぐるしい発展によりサンプリング音源が徐々にシェアを伸ばしていきました。
サンプルの再生速度と再生音量を任意に変更できるユニットを複数備えた専用サンプリング音源がSFCやPSに用いられました。
その後は、CPUの処理能力の向上に伴い、サンプルの再生速度と再生音量をCPUにより行うソフトウェアサンプリング音源がほとんどとなりました。
FM音源も次第に使われなくなり、いつの間にかめったに聞く機会が無くなりました。最後によく使われていたFM音源はガラケー用のYAMAHA MAシリーズとその拡張機能を付けたYAMAHA AEシリーズでしょうか?
現在は、サンプリング音源ないしソフトウェアサンプリング音源がほとんどとなりました。AWM音源など、サンプリングにかつての音色生成方法をとりいれた音源もあります。また、物理シミュレーションをリアルタイムに行い音色を生成する音源もあるようです。
そんなかつての音源ICたちの基本的な特徴をこのページではいろいろ紹介します。
手持ちの音源ICのみを紹介するので、そのうち増えるかも。
各項目の「類似品」は、仕様が近いものや後方互換性があるもの、レジスタ配置が似ているもの、一部機能の違いがあるが感覚的に近いものを載せています。
~PSG・SSG系~
・AY-3-8910
型番 | AY-3-8910 |
名称 | PSG |
系統 | PSG・SSG |
方式 | クロック分周矩形波 + 17bitLFSRノイズ(tap 17,14) |
同時発音数 | 矩形波3ch + ノイズ1ch (合計で最大3ch) |
エンベロープジェネレータ数 | 1基(矩形波3ch + ノイズ1ch 共通) |
パッケージのピン数 | 40 |
制御方法 | CP1610用バス制御(データバス8bit、BDIR、BC1、BC2) |
その他の機能 | 汎用ポート8bit x 2 |
類似品 | AY-3-8912 (PSG) AY-3-8913 (PSG) YM2149 (SSG) YM3439 (SSGC) YMZ284 (SSGL) YMZ294 (SSGLP) |
採用例 | GIMINI 8900 アーケードゲーム・遊技機 MSX その他機器 |
音源ICと聞くとこれをイメージする方も多いでしょう。
同時発音数が3chなのに対してエンベロープジェネレータが一基しかないので、結局ソフトウェアによる音量制御をして使うほうが便利です。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「AY-3-8910」からどうぞ
・SN76489A
型番 | SN76489AN |
名称 | DCSG |
系統 | DCSG |
方式 | クロック分周矩形波 + 16bitLFSRノイズ(tap 16,14 またはtap 16) |
同時発音数 | 矩形波3ch + ノイズ1ch |
エンベロープジェネレータ数 | 0 |
パッケージのピン数 | 16 |
制御方法 | データバス8bit、WE、CE |
その他の機能 | |
類似品 | |
採用例 | RICOH MT-505 アーケードゲーム・遊技機 その他機器 |
よくPSGと比較される音源ICです。ハードウェア・エンベロープジェネレータが内蔵されていないので、チップ単体での音の表現力はそれほどないです。ソフトウェアエンベロープを使う前提で制御するのが良さそうです。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「SN76489」からどうぞ
・YMZ294
型番 | YMZ294-D |
名称 | SSGLP |
系統 | PSG・SSG (SSG→SSGL→SSGLP) |
方式 | クロック分周矩形波 + LFSRノイズ |
同時発音数 | 矩形波3ch + ノイズ1ch (合計で最大3ch) |
エンベロープジェネレータ数 | 1基(矩形波3ch + ノイズ1ch 共通) |
パッケージのピン数 | 18 |
制御方法 | データバス8bit、WR、CS、A0 |
その他の機能 | |
類似品 | AY-3-8910 (PSG) AY-3-8912 (PSG) AY-3-8913 (PSG) YM2149 (SSG) YM3439 (SSGC) YMZ284 (SSGL) |
採用例 |
YM2149(SSG)→YMZ284(SSGL)では、汎用ポートの省略やクロック関係の改良、およびバス制御方法の変更をしたようです。YMZ284(SSGL)→YMZ294(SSGLP)ではクロックの周波数を2種類から選択できるようになりました。
基本的にPSGと似たものなので、ソフトウェアエンベロープの方が便利です。
SSGのハードウェアエンベロープは、PSGのハードウェアエンベロープより音量の諧調が細かくなっています。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YMZ294」からどうぞ
・YMZ285
型番 | YMZ285-D |
名称 | SSGP2 |
系統 | PSG・SSG (SSGP→SSGP2) |
方式 | クロック分周矩形波 + LFSRノイズ+PCM |
同時発音数 | 矩形波3ch + ノイズ1ch (合計で最大3ch)、PCMは独立4ch |
エンベロープジェネレータ数 | 1基(矩形波3ch + ノイズ1ch 共通) |
パッケージのピン数 | 28 |
制御方法 | データバス8bit、WR(A0)、CS(WE) |
その他の機能 | 原則内蔵シーケンサにより発音、テストモードにて内蔵SSGレジスタへ直接アクセス可能 外付け水晶振動子によるクロック生成回路を内蔵 |
類似品 | YMZ261 (SSGP) YMZ710? (SSGP3?) |
採用例 |
基本的に内蔵ROMへシーケンスデータを書き込まないと使えない音源ICです。秋月電子で販売されていたYMZ294がもう売り切れてしまっているので、代替としていいかもしれません。一応テストモードにて内蔵SSGへ直接アクセスできます。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YMZ285」からどうぞ
・YMZ771
型番 | YMZ771-F |
名称 | SSGS3 |
系統 | PSG・SSG (SSG→SSGS→SSGS2→SSGS3) |
方式 | クロック分周矩形波 + LFSRノイズ+AMM |
同時発音数 | 矩形波6ch + ノイズ2ch (合計で最大6ch)、AMMは8ch |
エンベロープジェネレータ数 | 2基 (矩形波3ch + ノイズ1ch 共通)x2 |
パッケージのピン数 | 80 |
制御方法 | データバス8bit、WR、CS、AD または データバス8bit、WR、CS、AD、ENA または データバス8bit(シンプルアクセスモード) |
その他の機能 | 外ROMシーケンサ内蔵 ステレオ出力、パンポット設定が可能 |
類似品 | YMZ705 (SSGS) YMZ732 (SSGS2) |
採用例 | アーケードゲーム機など |
SSG音源を2つ分内蔵した音源ICです。パンポットの設定ができるので、表現力が少し上がります。外付けROMを読み込んでAMMの再生ができるようですが詳細は不明です。
この音源ICのSSG部の制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YMZ771」からどうぞ
・FM音源
初期から中期のYAMAHAのFM音源LSIは、一部例外もありますがOP* (オペレータタイプ*)という感じの命名が付けられています。中期まで大々的にこの命名が出されることはあまりなかったのですが、FM音源の特許が切れた頃合いにこの命名を商標として大々的(LSI本体に印字など)に打ち出すようになりました。
この商標として有名なのが「OPL」です。斜体でちょっとおしゃれさを出した感じのフォントです。
といっても、この頃になるとFM音源の内部構成もだいぶ合理化(パラメータ数と作り出せる音色のバリエーションのバランスを整えた)が進んでいました。さらにこの頃になるとOPL3以外のFM音源は使われなくなりつつあり、そもそもFM音源LSIを搭載しないケースが増えてきました。
最後の要であるOPL3を商標とすることで、他メーカが参入するのを少しでも阻止しようとしたんでしょうか?
結局最後まで生き残ったのがOPL3をベースとした携帯電話向けFM音源です。同時発音数を増やしたり小型化したりイコライザなど別の機能を付けたりと頑張っていたようです。
現在2020年代ではすでにYAMAHAはFM音源を主体とする音源LSI単品を作っていないようです。
・YM2151
ロット番号が削られたYM2151(左)
型番 | YM2151 |
名称 | OPM |
系統 | OPM |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 8 |
総オペレータ数 | 32 |
1chあたりのオペレータ数 | 4 |
基本波形数 | 1 |
アルゴリズム数 | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 8 |
FM音源のその他の機能 | LFO:1系統 PM AM DT2(オペレータの周波数比を非整数倍に設定):4種 KSR ノイズジェネレータ フィードバック ステレオ出力(パンポット不可) |
パッケージのピン数 | 24 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0 |
DAC | YM3012 (DAC-MS) |
その他の機能 | 汎用出力ポート2個 タイマー2系統 |
類似品 | YM2164 (OPP) YM2414 (OPZ) YMF709 (OPOS) |
採用例 | アーケードゲーム機 X68K ほかにも多数 |
知名度が高いFM音源LSIです。かつてはアーケードゲーム機などによく使われていました。
中古でも比較的に出回っています。アーケード基板から取り外されたYM2151は、コピー基板を作る際に出所をわかりにくくするためかYM2151のロット番号が削られている場合があります。
オペレータの周波数比を非整数倍に設定できるため、鐘みたいな音が作りやすいです。
チャンネル音量が設定できないので、出力段のTLで音量制御する必要があります。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YM2151」からどうぞ
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YM2151」からどうぞ
型番 | YM2164 |
名称 | OPP |
系統 | OPP (OPM→OPP) |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 8 |
総オペレータ数 | 32 |
1chあたりのオペレータ数 | 4 |
基本波形数 | 1 |
アルゴリズム数 | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 8 |
FM音源のその他の機能 | LFO:1系統 PM AM DT2(オペレータの周波数比を非整数倍に設定):4種 KSR ノイズジェネレータ フィードバック ステレオ出力(パンポット不可) チャンネルボリューム |
パッケージのピン数 | 24 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0 |
DAC | YM3012 (DAC-MS) YM3014 (DAC-SS) |
その他の機能 | 汎用出力ポート2個 タイマー2系統 |
類似品 | YM2151 (OPM) YM2414 (OPZ) YMF709 (OPOS) |
採用例 | 主にYAMAHAのポータブルピアノ(YPRシリーズ)やシンセサイザ、エレクトーンなど SFG-05 DX-21 FB-01 MR-500 YPR-6 YPR-8 |
基本的な機能はYM2151 (OPM)と同じです。
大きく異なるところはOPMにチャンネルボリュームレジスタが追加されたところです。
OPMは出力段のTLレジスタを変更することで音量制御ができます。がこれには重大な欠点があります。
それはアルゴリズムによって出力となるTLレジスタの個数が変化することです。
アルゴリズムが4連直列の場合は一個TLレジスタを変更すればよいのですが、それ以外ですと複数のTLレジスタ値を設定音量をもとに算出しなければいけません。
この算出自体はそれほど難しくなく、音量値を対数変換したあと音色として設定したTLレジスタ値から減算します。
これはTL値と出力音量の関係が対数となっているためです。対数ということは乗除算の計算は加減算となるということです。
プログラムを組むのが面倒になるだけでなく、OPMに対するレジスタアクセスが増えます。OPMのレジスタは連続アクセスの際、アクセスごとにちょっと長めのウェイトを入れなければいけません。曲の演奏時にもたつく原因になりますね。
YM2164 (OPP)はチャンネルボリュームレジスタを追加したことにより、この問題を解決しました。
音色として設定したTLレジスタを変更することなく、音量値を対数変換した値をチャンネルボリュームレジスタに書き込むだけで良いということです。
地味にうれしいアップグレードです。
他にもYM2151 (OPM)と違うところが多々あるようですが、詳しく知るためには解析する必要がありそうです。
このFM音源ICは一般向けに販売されておらず、YAMAHAのシンセサイザやポータブルピアノ、エレクトーンなどによく搭載されました。
傾向的にハイエンド機(OPS系やOPZ系)よりランクを一個下げた立ち位置のシンセサイザに搭載されたイメージです。
逆にYAMAHAのシンセサイザにYM2151 (OPM)が搭載された例をまだ見たことが無いです。YAMAHAの製品でOPMが搭載されていたのはMSX用音源ユニットのSFG-01ぐらいでしょうか?
OPMとOPPのすみ分けがなぜあったのかは謎です。不思議ですね。
・YMF709
型番 | YMF709-D |
名称 | OPOS (またはOPO-S ※表記ゆれあり) |
系統 | 幻のOPO? (OPM→OPOS?) |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 8 |
総オペレータ数 | 32 |
1chあたりのオペレータ数 | 4 |
基本波形数 | 1 |
アルゴリズム数 | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 8 |
FM音源のその他の機能 | LFO:1系統 AM KSR ノイズジェネレータ フィードバック ステレオ出力(パンポット不可) |
パッケージのピン数 | 24 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0 |
DAC | YM3012 (DAC-MS) |
その他の機能 | 汎用出力ポート2個 タイマー2系統 |
類似品 | YM2151 (OPM) YM2164 (OPP) YM2414 (OPZ) |
採用例 | YAMAHA HD-81 YAMAHA HD-100 |
YAMAHAのハーモニーディレクタに使われているFM音源です。YM2151より音程を細かく設定できます。DT2が無いため、音色作りの幅はYM2151に及びません。
チャンネル音量が設定できないので、出力段のTLで音量制御する必要があります。この仕様はYM2151寄りですね。
採用例が今のところYAMAHAのハーモニーディレクタ2機種(HD-81とHD100)しか確認できていないので、ちょっとレアなFM音源ICです。
採用例が今のところYAMAHAのハーモニーディレクタ2機種(HD-81とHD100)しか確認できていないので、ちょっとレアなFM音源ICです。
型番を見ると英3文字+数字3桁なので、わりと新しい部類のFM音源だと思います。
まだ完全に仕様が判明していないですが、外部のマイコンにより音を出すことはできました。
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YMF709」からどうぞ
この音源ICの制御用サンプルプログラムは、このページ一番上の「音源ICの使い方へ」の「YMF709」からどうぞ
・YM2203
型番 | YM2203C |
名称 | OPN |
系統 | OPN |
方式 | FM音源、SSG音源 |
同時発音数 | 3(FM音源) + 矩形波3ch(SSG) + ノイズ1ch(SSG) |
総オペレータ数(FM音源) | 12 |
1chあたりのオペレータ数(FM音源) | 4 |
基本波形数(FM音源) | 1 |
アルゴリズム数(FM音源) | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数(FM音源) | 3 |
FM音源のその他の機能 | KSR フィードバック CSMモード・効果音モード(ch3のみ) |
パッケージのピン数 | 40 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0 |
DAC | YM3014 (DAC-SS) |
その他の機能 | タイマー2系統 汎用ポート8bit x 2 |
類似品 | YM2612 (OPN2) YM3438 (OPN2C) YMF276 (OPN2L?) YMF288 (OPN3L) YM2608 (OPNA) YM2610 (OPNB) YMF297 |
採用例 | NEC PC88シリーズ EPSON PCシリーズ 26音源ボード アーケードゲーム機などほか多数 |
知名度が高いFM音源LSIです。SSGも内蔵しています。FM音源部は3ch分しかないので、少し物足りなさがあります。発音チャンネルを増やすために複数個使うと良さそうです。
4つのオペレータの周波数を完全に個別指定できる「効果音モード」が搭載されています(ch3のみ)。これによりOPNでしか作れない音色が作成可能です。
FM音源LSIの中でも割とシンプルな方なのでおすすめです。
型番 | YM3438 |
名称 | OPN2C |
系統 | OPN (OPN→OPNA?→OPN2→OPN2C) |
方式 | FM音源、8bitPCM |
同時発音数 | 6(FM音源のみ)または FM音源5ch + PCM 1ch |
総オペレータ数 | 24 |
1chあたりのオペレータ数 | 4 |
基本波形数 | 1 |
アルゴリズム数 | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 6 |
FM音源のその他の機能 | LFO:1系統 PM AM KSR フィードバック ステレオ出力(パンポット不可) CSMモード・効果音モード(ch3のみ) |
パッケージのピン数 | 24 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0、A1 |
DAC | 内蔵9bitDAC |
その他の機能 | タイマー2系統 |
類似品 | YM2203 (OPN) YM2612 (OPN2) YMF276 (OPN2L?) YMF288 (OPN3L) YM2608 (OPNA) YM2610 (OPNB) YMF297 |
採用例 | 一部のアーケードゲーム機など |
YM2612 (OPN2)は、YM2203 (OPN)からSSG音源と汎用ポートを取り除き、OPNのFM音源部を2個分搭載したものです。さらにLFOの追加や8bitPCM再生機能が追加されています。また、DACも内蔵されています。
YM3438 (OPN2C)は、YM2612 (OPN2)をCMOS化したものです。
・YMF288
型番 | YMF288-M |
名称 | OPN3-L |
系統 | OPN (OPN→OPNA→OPN3-L) |
方式 | FM音源、SSG音源、ADPCM(リズムのみ) |
同時発音数 | 6(FM音源) + 矩形波3ch(SSG) + ノイズ1ch(SSG) + ADPCM 6ch(リズム) |
総オペレータ数(FM音源) | 24 |
1chあたりのオペレータ数(FM音源) | 4 |
基本波形数(FM音源) | 1 |
アルゴリズム数(FM音源) | 8 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数(FM音源) | 6 |
FM音源のその他の機能 | LFO:1系統 PM AM KSR フィードバック ステレオ出力(パンポット不可) CSMモード・効果音モード(ch3のみ) |
パッケージのピン数 | 28 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0、A1 |
DAC | I2S(MSBファースト2'sコンプリメント)汎用DAC |
その他の機能 | タイマー2系統 リズム用ADPCM(サンプルROM内蔵) |
類似品 | YM2203 (OPN) YM2612 (OPN2) YM3438 (OPN2C) YMF276 (OPN2L?) YM2608 (OPNA) YM2610 (OPNB) YMF297 |
採用例 | 一部の98NOTEなど |
YM2608 (OPNA)のリズム用ROMを内蔵したものです。リズムROMの内容は書き換えられないものの、このパッケージの小ささでFM音源+SSG音源+ADPCMリズム音が出せるというお得感があり、おすすめです。
・YM3812
型番 | YM3812 |
名称 | OPL2 |
系統 | OPL (OPL→OPL2) |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 9(リズム無し)または、6+リズム5種(リズムあり) |
総オペレータ数 | 18 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 |
基本波形数 | 4 |
アルゴリズム数 | 2 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 9 |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 CSMモード |
パッケージのピン数 | 24 |
制御方法 | データバス8bit、WR、RD、CS、A0 |
DAC | YM3014 (DAC-SS) |
その他の機能 | タイマー2系統 |
類似品 | YM3526 (OPL) YMF262 (OPL3) YMF289 (OPL3-L) YMF701 (OPL3-SA) YMF711 (OPL3-SA2) YMF715 (OPL3-SA3) YMF719 (OPL3-SA3C) YMF278 (OPL4) YMF704 (OPL4-ML) YMF721 (OPL4-ML2) YM2413 (OPLL) YM2420 (OPLL-2) YM2423 (OPLL-X) YMF281 (OPLL-P) YMF297 MS1823 |
採用例 | アーケードゲーム機 YAMAHAポータートーンなど |
OPL系の特徴は何といってもオペレータが2つのみでアルゴリズムが2種類しかないところでしょう。
YM3526 (OPL)は基本波形が1つでかつ2オペレータのFM音源あったため作れる音色の幅が非常に狭かったようです。YM3812は基本波形を4つに増やし2オペレータのFM音源の欠点を補いました。
・YM2413
型番 | YM2413 |
名称 | OPLL |
系統 | OPL (OPL→OPLL) |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 9(リズム無し)または、6+リズム5種(リズムあり) |
総オペレータ数 | 18 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 |
基本波形数 | 2 |
アルゴリズム数 | 2 |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 1 (プリセット15種) |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 |
パッケージのピン数 | 18 |
制御方法 | データバス8bit、WE、CS、A0 |
DAC | 内蔵 |
その他の機能 | 外付け水晶振動子によるクロック生成回路を内蔵 |
類似品 | YM3526 (OPL) YM3812 (OPL2) YMF262 (OPL3) YMF289 (OPL3-L) YMF701 (OPL3-SA) YMF711 (OPL3-SA2) YMF718 (OPL3-SA2C) YMF715 (OPL3-SA3) YMF719 (OPL3-SA3C) YMF741 (OPL3-SA3L) YMF278 (OPL4) YMF704 (OPL4-ML) YMF721 (OPL4-ML2) YM2420 (OPLL-2) YM2423 (OPLL-X) YMF281 (OPLL-P) VRC7 YMF297 MS1823 |
採用例 | アーケードゲーム機 YAMAHAポータートーン MSX などほか多数 |
OPLのサブセットです。プリセットの音色が15種類用意されています。
YM2413の基本波形は2種類なので、YM3526 (OPL)よりは音作りの幅が広いですが、 YM3812 (OPL2)には及びません。
ユーザーが自由にセットできる音色パラメータは1種類だけなので、物足りなさがありますがとにかく手軽に発音できるので、FM音源入門にはうってつけです。
・YMF289
YMF289B-S
型番 | YMF289B-S |
名称 | OPL3-L |
系統 | OPL (OPL→OPL2→OPL3→OPL3-L) |
方式 | FM音源 |
同時発音数 | 4オペ同時発音数OP4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペ同時発音数OP2=18 - 2*OP4 - 3*RHY FM同時発音数=OP4 + OP2 リズム同時発音数= 5*RHY |
総オペレータ数 | 36 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 または 4 |
基本波形数 | 8 |
アルゴリズム数 | 2(2オペ時)、4(4オペ時) |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 4オペの保存可能パラメータ数P4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペの保存可能パラメータ数P2=18 - 2*OP4 - 3*RHY |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 |
パッケージのピン数 | 44(YMF289B-F)、48(YMF289B-S) |
制御方法 | データバス8bit、RD、WR、CS、A0、A1 |
DAC | I2S(MSBファースト2'sコンプリメント)汎用DAC YAC513 YAC516 (DAC16-L) |
その他の機能 | タイマー2系統 5Vまたは3.3V動作可能 パワーダウンモード搭載 4ch出力(パンポット不可) |
類似品 | YM3526 (OPL) YM3812 (OPL2) YMF262 (OPL3) YMF701 (OPL3-SA) YMF711 (OPL3-SA2) YMF718 (OPL3-SA2C) YMF715 (OPL3-SA3) YMF719 (OPL3-SA3C) YMF741 (OPL3-SA3L) YMF278 (OPL4) YMF704 (OPL4-ML) YMF721 (OPL4-ML2) YM2413 (OPLL) YM2420 (OPLL-2) YM2423 (OPLL-X) YMF281 (OPLL-P) YMF297 MS1823 |
採用例 | Sound Blaster ProなどのPC用サウンドカード一般 |
YM3812 (OPL2)→YMF262 (OPL3)では、YM3812 (OPL2)を2個分内蔵し、基本波形数を4個から8個に増やしました。さらに4オペレータモードを追加したため、音色作りの幅が一気に広がりました。
2オペレータモードと4オペレータモードは混在して発音できるため、オペレータの利用効率は良いです。ただし、4オペレータモードの最大同時発音数は6なのでそこは物足りなさがあります。
YM2414 (OPZ)と比較すると、YM2414 (OPZ)のオペレータ周波数は非整数倍に設定出来るのに対してOPL3は整数倍のみとなっています。そのほか多々違いはありますが、1chあたりのオペレータ数や基本波形数などは同じです。
そしてYMF289は、YMF262 (OPL3)の低電圧動作可能版です。サンプリング周波数が49.7kHz(YMF262)→44.1kHz(YMF289)に変更されています。
YMF289が出た頃、YAMAHAのFM音源の特許が切れたので、これ以降は安価なOPL3互換モード搭載の音源チップが多く出回るようになりました。
上記画像のような斜体の"OPL"商標は、こういった事情から生まれたのかもしれませんね。(真偽は不明です。)
・YMF715
型番 | YM715F-S |
名称 | OPL3-SA3 |
系統 | OPL (OPL→OPL2→OPL3→OPL3-SA→OPL3-SA2→OPL3-SA3) |
方式 | FM音源、16bitステレオコーディック |
FM音源同時発音数 | 4オペ同時発音数OP4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペ同時発音数OP2=18 - 2*OP4 - 3*RHY FM同時発音数=OP4 + OP2 リズム同時発音数= 5*RHY |
総オペレータ数 | 36 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 または 4 |
基本波形数 | 8 |
アルゴリズム数 | 2(2オペ時)、4(4オペ時) |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 4オペの保存可能パラメータ数P4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペの保存可能パラメータ数P2=18 - 2*OP4 - 3*RHY |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 ※OPL3と同様 |
パッケージのピン数 | 100 |
制御方法 | ISA 1.0a |
DAC | 内蔵 |
その他の機能 | 16bitステレオコーディック タイマー Sound Blaster Pro互換 YMERSION(ワイマージョン) MPU-401 ジョイスティックポート |
類似品 | YM3526 (OPL) YM3812 (OPL2) YMF262 (OPL3) YMF289 (OPL3-L) YMF701 (OPL3-SA) YMF711 (OPL3-SA2) YMF718 (OPL3-SA2C) YMF719 (OPL3-SA3C) YMF741 (OPL3-SA3L) YMF278 (OPL4) YMF704 (OPL4-ML) YMF721 (OPL4-ML2) YM2413 (OPLL) YM2420 (OPLL-2) YM2423 (OPLL-X) YMF281 (OPLL-P) YMF297 MS1823 |
採用例 | PC一般 Sound Blaster Pro互換のPC用サウンドカード一般 |
Sound Blaster Pro互換のサウンドカード用LSIです。ここまでくるとFM音源がメインではなくなります。
型番 | YMF744B-R YMF744B-V |
名称 | DS-1S |
系統 | DS-1 (DS-1→DS-1S) |
方式 | FM音源、XG音源、AC'97 |
同時発音数 | 32(2OP FM音源) + 64(XG部) |
総オペレータ数 | 36 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 または 4 |
基本波形数 | 8 |
アルゴリズム数 | 2(2オペ時)、4(4オペ時) |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 4オペの保存可能パラメータ数P4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペの保存可能パラメータ数P2=18 - 2*OP4 - 3*RHY |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 ※OPL3と同様 |
パッケージのピン数 | 128 |
制御方法 | PCI 2.2, ISA |
DAC 出力フォーマット | I2S(MSBファースト2'sコンプリメント)汎用DAC SPDIF |
その他の機能 | 16bitステレオコーディック タイマー Sound Blaster Pro互換 MPU-401 ジョイスティックポート 他 |
類似品 | YMF724 (DS-1) YMF734 (DS-1B) YMF740 (DS-1L) YMF754 (DS-1E) YMF738 (DS-2) |
採用例 | PC一般 サウンドカード等 |
XGシンセサイザ機能を搭載したPC用サウンドLSIです。
PCで使う場合は専用のドライバを入手する必要があります。付属のドライバのXG音源でもかなり良い音が出せるので、おすすめです。
YMF724 (DS-1)の出力チャンネル数は2つでしたが、YMF744 (DS-1S)では出力チャンネル数4つに増やしました。
Sound Blaster Pro互換のためにFM音源(OPL3)が入っています。
XG音源部分の詳細はわかりませんが、YMF744のデータシート上に"Maximum 64-voice XG capital Wavetable"とあるので恐らく内部のRAMに波形を登録するのかもしれませんね。(真偽は不明)
この部分が判ればマイコン等で音を出すことも可能でしょう。
DS-1はPC用のソフトウェア音源と比較してコスパが良かったので割と多く出回っていました。
・YMF754
型番 | YMF754-R |
名称 | DS-1E |
系統 | DS-1 (DS-1→DS-1S→DS-1E) |
方式 | FM音源、XG音源、AC'97 |
同時発音数 | 32(2OP FM音源) + 64(XG部) |
総オペレータ数 | 36 |
1chあたりのオペレータ数 | 2 または 4 |
基本波形数 | 8 |
アルゴリズム数 | 2(2オペ時)、4(4オペ時) |
1ch分の音色パラメータを1としたときの保存可能なパラメータ数 | 4オペの保存可能パラメータ数P4=0~6、リズムの有無RHY=(0:なし、1:あり)としたとき、2オペの保存可能パラメータ数P2=18 - 2*OP4 - 3*RHY |
FM音源のその他の機能 | ビブラート AM KSR KSL フィードバック リズム 5種 ※OPL3と同様 |
パッケージのピン数 | 128 |
制御方法 | PCI 2.2, ISA |
DAC 出力フォーマット | I2S(MSBファースト2'sコンプリメント)汎用DAC SPDIF |
その他の機能 | 16bitステレオコーディック タイマー Sound Blaster Pro互換 MPU-401 ジョイスティックポート 他 |
類似品 | YMF724 (DS-1) YMF734 (DS-1B) YMF740 (DS-1L) YMF744 (DS-1S) YMF738 (DS-2) |
採用例 | PC一般 サウンドカード等 |
YMF744 (DS-1S)の後継音源LSIです。
YMF754 (DS-1E)は、YMF744 (DS-1S)をさらに低消費電力化したものです。
あとはSPDIFの入力周りが少し強化されました。
しかし、このチップが作られた年代より後は、PCの性能向上とともにソフトウェア音源のコスパの軍配が上がり、高音質志向のもの以外のサウンド専用音源チップは廃れていきました。
代わりかどうか不明ですが、YAMAHAは携帯電話向けの音源チップを作るようになります。
着メロ文化により、CPUのリソースを消費せず多重和音が出せ、高機能・多様なエフェクトが可能な音源チップが求められていたのでしょう。
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