JPD ( ジャパンパワーデバイス株式会社 )の謎のIGBTについて
注意:この記事の内容を鵜呑みにし、事故や損失を招いた場合でも当方は一切の責任は負いかねます。自己責任でお願いします。まったくのでたらめがかかれている前提でお読みください。また、当方はJPDとは一切関係は無く、このページの内容は独自に調査したものを示しています。
JB75N120JP3 ES品
端子部にコネクタ接続あとあり
最近、某オークションサイトで放出されているJPD製の謎のIGBTについて軽く調べてみました。
IGBT本体の捺印のロゴ(筋肉もりもりの腕)からして怪しさを感じますが、どうやら日本の新興ファブレス企業が設計したIGBTのようです。
2021年に設立されましたが、残念ながら2026年頭くらいに破産してしまいました。
チップ製造の委託先の1つ?であるJSファンダリの破産を受けて芋づる式に倒れてしまったのでしょうか…
JPDはIGBT専業企業、それも電流共振専用IGBTしか作らないというこだわりがあったようです。
IH(炊飯器を含む)や電子レンジのインバータ回路向けのIGBTやパワーコンディショナーやUPS、溶接機などで利用されているZCSやZVZCS回路向けのIGBTを作っていました。
そもそも家庭用のAC100Vの小出力なIHや電子レンジは電圧共振型のインバータが多く、圧倒的に電圧共振用IGBTの方が需要があります。
ただ、電流共振用IGBTもそれなりに需要があります。特に業務用のIHや電子レンジや高級なIH(オールメタル対応)向けの需要を開拓したかったのでしょう。電流共振用IGBTは1つでは使わずハーフブリッジにして使うことが多く、低価格向けの家電には使いにくい傾向がありますが、IGBTの価格が圧倒的に安ければ使ってもらえると踏んだのだと思います。
噂では、単価100円を切る価格で販売していたとあります。
特に中国やインド向けに作っていたともあるので、220V電源のIH用に売れると踏んだのでしょう。
素人目線の個人的な感想としては、JPDという企業を今の今まで全く知らなかった点や、共振向けIGBTのみの生産という点を踏まえて、もう少しやりようがあったのかなと勝手に思ってしまいます。せっかく高品質でいいものが作れるのに潰すにはもったいないです。
秋月電子や秋葉原の電気街にJPDのIGBTを置いてもらったり、評価ボードを市販したり、○○社のIGBTの互換品を作ったり、ちゃんとデータシートを作ったり(ゲート入力電荷量QGやスイッチング損失EON,EOFFの未記載)、"カスタムIGBT(ハードスイッチング含む)作ります!"みたいな柔軟性があったら、結果が変わったのかもしれません。
(ROHMあたりは、秋月電子に積極的にサンプル品を置いてもらっていますね。好感が持てます。)
このページを見ている方は恐らく、JPDのIGBTが電流共振コンバータ以外にも利用できる(主にハードスイッチング)かどうか気になるところだと思います。
1つ言えるのがJPDのIGBTはテスラコイルの駆動には打って付けということです。
・JPDのIGBT
JPDはファブレス企業ですので、製造は外部に委託しているようです。
チップ製造はJSファンダリ(JSF)という日本の会社が請け負っていいました。
他にもチップテスト等はエスタカヤ電子工業、パッケージングは大分デバイステクノロジー(ODT)なども関わっているようです。
・型番
実際の型番から推測したものです。間違っているところもあるかもしれません。
[量産品]
" BG" "電圧x10" "シリーズ" "電流" "J または F" "バージョン" "パッケージ"
" JB" "電流" "シリーズ" "電圧x10" "J または F" "バージョン" "パッケージ"
・BG または JB
初期のモデルではBGとなっています。
BGとJBモデルでは電圧と電流の表記位置が逆です。
・電流
コレクタ許容電流ICです。
2桁または3桁の数字で示されています。
JBモデルでのこの電流値は接合温度Tcが100℃のときの値です。
接合温度が25℃の時はおおよそ2倍の許容電流となることが多いです。(要データシート参照)
・シリーズ
シリーズはN, F, R などがあるようです。
N : FS-IGBT FRD無し
F : FRD入り
R : RC-IGBT FRD一体型
・電圧
コレクタ・エミッタ間許容電圧VCEです。
3桁の数字で示されています。表示x10倍が実際の許容電圧です。
・J または F
よくわかりません。
ほとんどがJ品です。JB40N65FM2P3とJB40N65FM2WのみF品です。
・バージョン
無印、"1"、"M1"、"M2"などが確認できます。
無印 : 電流共振型LLC用?(未検証) JB75N120JP3
1 : 電流共振インバータ用?(未検証) JB40N065J1P3 等
M1 : 資料が見つからず不明です。M2 : MarkⅡの略でしょうか?開発中のものが多く、量産品では無いようです。
・パッケージ
P3 : TO247-3L
W : ウエハ
TO247-3Lのねじ穴左右の凹みが角ばっているのが、大分デバイステクノロジー(ODT)製のものです。ねじ穴左右の凹みが丸みをものもあります。
[開発サンプル品]
"DS" "数字4桁" "IGBTタイプ" "バージョン"
・DS
デザインサンプルの略でしょうか?
・数字4桁
詳細不明です。開発番号です。
存在を確認している物は、
1000、1001、1002、1003、1004、1005
です。
・IGBTタイプ
無印、RCなどが確認できます。
無印 : Nシリーズ?
RC : RC-IGBT Rシリーズ?
・バージョン
無印、数字1桁などが確認できます。
詳細不明です。
・JPDのIGBTはハードスイッチングで使用できるのか?
JPDのIGBTがハードスイッチングで使えるかどうかは、このページを訪ねた方の最大の疑問でしょう。
JPDの色々なデータシートを見ると、"電流共振インバータ用(Current Resonance Inverter Switching Application)"と書かれている物と"ソーラーインバータ、無停電電源装置、溶接機(Solar Inverter, Uninterruptible Power Inverter Supplies (UPS), Welding)"と書かれている物の2種類が存在します。
言わずとも電流共振インバータ用と書かれている物は、ハードスイッチングには向かないと分かりますが、ソーラーインバータ、無停電電源装置、溶接機向けと書かれている物は、どうなんでしょうか?
残念ながらスイッチング損失EON,EOFFの記載がないため、判断が難しいです。
ソーラーインバータ、無停電電源装置、溶接機のインバータ回路にもハードスイッチングのものもあればソフトスイッチング(電圧共振、電流共振、またその部分共振型)のものあります。
JPDのウェブページにはその辺が詳しく書かれておらず、不明です。
まずは他社のIGBTの例を挙げてみます。
・富士電機
富士電機 用途別情報 溶接機
富士電機製の上記のIGBTは、ハードスイッチングにもソフトスイッチングにも使えるIGBTなのかもしれません。JPDのデータシートと同様にソーラーインバータ、無停電電源装置、溶接機用としか書かれていません。
ソフトスイッチング用ならば、ZVS、ZCS用などと書かれているべきですがそんな文言はありません。
・東芝
IGBT
東芝の場合、ハードスイッチング用、電流共振用、電圧共振用と明確に区別しています。
2026時点での現行品では、
ハードスイッチング用
GT50J123
電流共振用
GT20J121
GT30J122A (部分スイッチングPFC用との記述もあり)
GT30J65MRB (PFC用との記述もあり)
電圧共振用
GT20N135SRA
GT30J110SRA
GT60PR21
等…
ラインナップの多くが電圧共振用IGBTで、わずかにハードスイッチング用と電流共振用があります。
上記の例の限定で、東芝の電流共振用IGBTはボディーダイオードが入っていないという特徴があるようです。
また、GT30J65MRBの場合、電流共振用ですがPFC用(ハードスイッチング?用)でもあります。スイッチングタイムの測定条件でL=100μHとなっているので、誘導負荷前提で作られています。電流共振用のGT30J122Aの場合、スイッチングタイムの測定条件は抵抗負荷のみとなっています。
上記例の電圧共振用IGBTのスイッチングタイムの測定条件は抵抗負荷のみとなっています。スイッチング損失の測定条件ではL=30μHとなっています。
ハードスイッチング用のGT50J123の場合、スイッチングタイムの測定条件は誘導負荷となっているものの、具体的なインダクタンスは設定されていません。
ハードスイッチング用のGT50J123は、電流共振用のGT50J341やモータドライブ用のGT30J341の代替推奨品となっています。
基本的にハードスイッチング用IGBTは高速であればとしても使えるのかもしれません。
・JPDのデータシートからわかること
スイッチングタイムの測定条件ではL=100μHの誘導負荷となっています。
東芝の場合、電流共振用兼PFC用のIGBTがスイッチングタイムの測定条件L=100μHとなっています。
・JPDのIGBTは電流共振以外に使えるかどうか総合的に判断すると…
・電流共振コンバータ用と書かれている物は、電流共振コンバータ専用です。
・Nシリーズ(FS-IGBT)のソーラーインバータ・無停電電源装置・溶接機用と書かれている物は、PFC用であり電流共振コンバータ用でもあります。
ただし、モータドライブには向きません。(短絡許容時間の記載が無いため、アーム短絡した時の貫通電流耐性が低い?また、FWDが無いので外付けで必要)
デッドタイムを多めにとって適切なFWDを付けたらモータドライブにも使えると思います。(お遊びで使うのなら全然ありですが製品には使えないです。)
・Rシリーズ(RC-IGBT)の場合、情報が無く不明ですが、Nシリーズと同様にPFC用・電流共振コンバータ用のはずです。
Nシリーズと同様、アーム短絡した時の貫通電流耐性が低そうなので、モータドライブには向きません。デッドタイムを多めに取って貫通電流を抑えないと故障しやすそうです。
JPDのIGBTは基本的には電流共振コンバータ・アクティブPFC用です。
アクティブPFC用にも使えるということは、昇圧チョッパや降圧チョッパにも使えそうです。
モータドライブには工夫すれば使えるかもしれませんがお遊びレベルでしょう。
テスラコイルとは相性が良さそうですね。
・型番一覧
某オークションサイトで見かけたものも合わせて確認できているもので以下のものがあります。
・TO247-3L
BG065F40 650V 40A VCE SAT : 1.85V IGBT+FRD 電流共振用
JB40N120JP3 JB40N120J 1200V 40A VCE SAT : 1.8V FS-IGBT 産業用UPS、ソーラーインバータ、溶接機用
JB75N120JP3 JB75N120J 1200V 75A VCE SAT : 1.95V FS-IGBTJB40N65JP3 JB40N65Jまたは JB40N065JP3 JB40N065J 650V 40A VCE SAT : 1.8V FS-IGBT
JB40N065J1P3 JB40N065J1 650V 40A VCE SAT : 1.6V IGBT 電流共振用
JB75N65JP3 JB75N65Jまたは JB75N065JP3 JB75N065J 650V 75A VCE SAT : 1.95V FS-IGBT 産業用UPS、ソーラーインバータ用JB40R65JP3 JB40R65J 650V 40A VCE SAT : ? RC-IGBT
JB30F120JP3 JB30F120J 1200V 30A VCE SAT : 1.8V IGBT + FRD
JB40F120JP3 JB40F120J 1200V 40A VCE SAT : ? IGBT + FRDJB40N120JM2P3 JB40N120JM2 1200V 40A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB75N120JM2P3 JB75N120JM2 1200V 75A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB40N65JM2P3 JB40N65JM2 650V 40A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB75N65JM2P3 JB75N65JM2 650V 75A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB20R120JM2P3 JB20R120JM2 1200V 20A VCE SAT : ? RC-IGBT 第2世代
JB40R120JM2P3 JB40R120JM2 1200V 40A VCE SAT : 2.0V RC-IGBT 第2世代
JB75R120JM2P3 JB75R120JM2 1200V 75A VCE SAT : 2.1V RC-IGBT 第2世代JB40R65JM2P3 JB40R65JM2 650V 40A VCE SAT : 2.0V RC-IGBT 第2世代
JB75R65JM2P3 JB75R65JM2 650V 75A VCE SAT : 2.1V RC-IGBT 第2世代
・ウェハ
JB40N120JW 1200V 40A VCE SAT : 1.8V FS-IGBT
JB75N120JW 1200V 75A VCE SAT : 1.95V FS-IGBTJB40N65JW 650V 40A VCE SAT : 1.8V FS-IGBT
JB75N65JW または JB75N065JW 650V 75A VCE SAT : 1.95V FS-IGBTJB40N120JM2W 1200V 40A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB75N120JM2W 1200V 75A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB40N65JM2W 650V 40A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB75N65JM2W 650V 75A VCE SAT : 1.9V FS-IGBT 第2世代
JB40R120JM2W 1200V 40A VCE SAT : 2.0V RC-IGBT
JB75R120JM2W 1200V 75A VCE SAT : 2.1V RC-IGBTJB40R65JM2W 650V 40A VCE SAT : 2.0V RC-IGBTJB75R65JM2W 650V 75A VCE SAT : 2.1V RC-IGBT
・開発サンプル品
DS1000-RC 詳細不明 JB40R65JP3相当品?DS1002 詳細不明 JB40N120JP3相当品?
DS1003 詳細不明 JB40F120JP3相当品?
DS1005 詳細不明
DS1005RC 詳細不明
DS1005RC2 詳細不明
DS1005RC3 詳細不明
DS1005RC4 詳細不明
DS1005RC5 詳細不明
DS1005RC4 詳細不明
DS1005RC5 詳細不明
123456789012 ABCDEFGHIJKLM OPQRSTUVWXYZ 詳細不明 パッケージサンプル品 ダイ未実装の可能性あり
・捺印
TO247-3Lのパッケージ品の捺印にもいくつか種類があります。
・量産品
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"ロゴ"JPD
JBxxXxxxJ
ロット
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一番シンプルなタイプです。筋肉ロゴマークが無い場合もあります。ウエハロットは記載されていません。
ロット記述はいくつかの種類があります。
年4桁+製造週2桁+社内コード2桁?
年下2桁+製造週2桁+社内コード3桁または4桁?
・エンジニアリングサンプル品 ES品 または 量産品
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"ロゴ"JPD
JBxxXxxxJ
世代 ウエハロット
ロット➁
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ウエハロットが追加で記載されています。ウエハロットとロット➁の位置が入れ替わっている場合もあります。世代部分は第1世代の場合は未記載、第2世代ではM2が捺印されています。
ウエハロットのフォーマットは、基本的にアルファベット3桁+数字5桁です。
追加で-数字3桁が記述されている場合があります。
ロット➁部分は年下2桁+製造週2桁+社内コード3桁または4桁?+4桁
・エンジニアリングサンプル品 ES品
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"ロゴ"JPD
JBxxXxxxJ
世代 ウエハロット
ロット➂
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ロット➂部分は英数字2~4桁+ "-" + "数字2~3桁"です。
・開発サンプル品
/////////////////////////
"ロゴ"JPD
DSxxxx
世代 ウエハロット
ロット➂
/////////////////////////
/*検索エンジン用単語リスト*/
Japan Power Device
Datasheet
insulated-gate bipolar transistor
Engineering Sample
仕様