2024年6月12日水曜日

7MBR30NF060 IGBTモジュールの分解

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故障した富士電機製のIGBTモジュール「7MBR30NF060-10」を分解してみました。

このIGBTモジュールは、富士IGBTモジュール「Nシリーズ」の1つで、小型の3相インバータ向けのパワーモジュールです。
内部には3相整流用ダイオードブリッジ、3相インバータ用IGBTおよびダイナミックブレーキ用IGBTがあります。







・内部回路

※同じシリーズのIGBTパワーモジュールである7MBR30NF060のデータシートより抜粋






・分解





右側のきれいに6個並んでいる素子が3相インバータ用のIGBTです。
大きく四角いのがIGBTの素子で、すぐ隣のボンディングワイヤーが5本接続されている小さな四角い素子が還流ダイオードです。








IGBTの素子の上の銀色の素子は、NLUと呼ばれる過電流保護用のIC?です。
IGBTは過電流によりラッチアップする場合があるため、この回路が入っています。
NLUの中には電流を監視するシャント抵抗とIGBTのゲート-エミッタ間をクランプするMOSFETが入っています。

1つのIGBTの素子の中には小さなIGBT複数あると等価的にみなせます。
この小さなIGBTのエミッタ電流の一部NLU内のシャント抵抗へ流します。

もし、過電流によりエミッタ電流が規定値に近づくと、シャント抵抗の端子間電圧が上昇し、IGBTのゲート-エミッタ間をクランプするMOSFETがオンになります。
IGBTのゲート-エミッタ間電圧は低下するため、IGBTのコレクタ電流は規定値より上がらなくなります。
このままIGBTのゲートに電圧を印加し続けようとすると、IGBTは半クラ状態になるため、IGBTのコレクタ-エミッタ間の損出が爆上がりし熱破壊を起こします。

なので、IGBTのコレクタ-エミッタ間の電圧を監視する、もしくはIGBTモジュールのゲート端子に流れる電流を監視するなどして、NLUによる過電流保護が働いたことを知る必要があります。


よく見るとV相のハイサイド側のIGBTの素子に黒い点があり、故障しています。
テスタで調べてみると、ゲート-エミッタ間の短絡およびコレクタ-エミッタ間の短絡が起きています。

他の素子の短絡は見られなかったので、3相インバータモジュールとしては使えないですが、フルブリッジモジュールとしては使えるかもしれません。



IGBTモジュールの中の左側のきれいに6個並んでいる素子が3相整流用のダイオードです。




3相整流用のダイオードの上の少し隠れている部分にダイナミックブレーキ用IGBTとダイオードがそれぞれ1個ずつあります。











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