2022年5月28日土曜日

PC-9801VXの修理

電子機器の分解一覧


PC-9801VXの修理

注意:このサイトの内容を鵜呑みにし、事故や損失を招いた場合でも当方は一切の責任は負いかねます。自己責任でお願いします。


NECのパーソナルコンピュータ「PC-9801VX」のバックアップバッテリーの液漏れを修理する際の結線をまとめました。



PC-98シリーズの2大故障原因として、
・コンデンサの故障
・コンデンサまたはバックアップバッテリーの液漏れによる腐食・断線
があります。

コンデンサの故障の場合、コンデンサ(多くは電解コンデンサかタンタルコンデンサのどちらか)を取り換えれば修理できます。
しかし、コンデンサまたはバックアップバッテリーの液漏れによる断線は、なかなか厄介で、断線箇所を地道に特定して結線しなければいけません。



PC-9801VXのメインボードのバックアップバッテリー付近の配線・ビアは、主にグラフィックボードまわりと接続されています。
バッテリーの液漏れにより配線・ビアの腐食が起こると、起動不良や表示文字の異常がみられます。


※今回紹介で使用しているメインボードは、「G8APA」です。PC-9801VXの生産時期の違いによってメインボードのバージョンも異なるため注意してください。


・バックアップバッテリー付近のパターンの写真

IC等の下を通るパターンの状態を確認します。
ビアの腐食は、テスタを当てればすぐわかりますが、配線の腐食箇所は簡単には見分けられません。
パターンの変色など、怪しいと思った部分の前後のレジストを軽く削り、テスタで導通しているか確認します。



以下の画像は、バックアップバッテリー周りのパターンを様々な方向から撮影したものです。
修正の参考にしてください。


74LS02、バックアップバッテリーの下①

74LS02、バックアップバッテリーの下②

74LS02、バックアップバッテリーの下③

74LS02、バックアップバッテリーの下④

74LS02、バックアップバッテリーの下⑤

74LS02、バックアップバッテリーの下⑥

74LS02、バックアップバッテリーの下⑦

PAL16R6、バックアップバッテリーの下①

PAL16R6、バックアップバッテリーの下②

PAL16R6、バックアップバッテリーの下③

74LS02の下

74LS02、バックアップバッテリーの下⑧

74F32の下

CPUボードコネクタの下①

CPUボードコネクタの下②







・断線箇所の修正

断線箇所を見つけたら修正します。

思いつく修正方法で、2通りほどあります。
・被覆配線で部品リード・ビア間バイパスによる修正
・極細すずメッキ線によるパターン・ビア修正

・被覆配線で部品リード・ビア間バイパスによる修正

基板裏から被覆付き線で配線します。
PC-9801VXの基板のビアは、部品を挿入するためのホール・ランドと同じ構造をしています。
ですので、部品の足-ビア間も被覆配線で容易に結線できます。

幸い、PC-9801VXはそれほど高速な信号を用いていないので、等長配線やパターン切断部での反射による動作不良が起こる可能性が低いです。(信号線の種類によっては動作不良となる可能性があるので注意)

・極細すずメッキ線によるパターン・ビア修正

ビアに0.1mm程度の極細すずメッキ線挿入して、パターン・ビアを修正します。

とても繊細な作業が要求されますが、被覆配線の時に起こりうる非等長配線や反射が起こらないため、結線できれば動作する可能性が高いです。

0.1mmほどのパターンのレジストを削り、はんだメッキしたのちにメッキ線をはんだ付けします。




以下の図に、バックアップバッテリー周りのビアがグラフィックボードのどのピンへ接続されているかをまとめました。

青丸が部品用のランド・ホール、灰丸がビアです。



ビアの名称
A"数字"  :  グラフィックボードのコネクタのA側に接続
B"数字"  :  グラフィックボードのコネクタのB側に接続

ND"数字"  :  ビアまたは部品ランド同士の接続(すべての箇所の結線ではありません。)
無表記  :  結線のチェックをしていません。基板の画像を見て各自チェックしてください。













0 件のコメント:

コメントを投稿