電子機器の分解一覧
PC-9801VXの修理
注意:このサイトの内容を鵜呑みにし、事故や損失を招いた場合でも当方は一切の責任は負いかねます。自己責任でお願いします。
NECのパーソナルコンピュータ「PC-9801VX」のバックアップバッテリーの液漏れを修理する際の結線をまとめました。
PC-98シリーズの2大故障原因として、
・コンデンサの故障
・コンデンサまたはバックアップバッテリーの液漏れによる腐食・断線
があります。
コンデンサの故障の場合、コンデンサ(多くは電解コンデンサかタンタルコンデンサのどちらか)を取り換えれば修理できます。
しかし、コンデンサまたはバックアップバッテリーの液漏れによる断線は、なかなか厄介で、断線箇所を地道に特定して結線しなければいけません。
PC-9801VXのメインボードのバックアップバッテリー付近の配線・ビアは、主にグラフィックボードまわりと接続されています。
バッテリーの液漏れにより配線・ビアの腐食が起こると、起動不良や表示文字の異常がみられます。
※今回紹介で使用しているメインボードは、「G8APA」です。PC-9801VXの生産時期の違いによってメインボードのバージョンも異なるため注意してください。
・バックアップバッテリー付近のパターンの写真
IC等の下を通るパターンの状態を確認します。
ビアの腐食は、テスタを当てればすぐわかりますが、配線の腐食箇所は簡単には見分けられません。
パターンの変色など、怪しいと思った部分の前後のレジストを軽く削り、テスタで導通しているか確認します。
以下の画像は、バックアップバッテリー周りのパターンを様々な方向から撮影したものです。
修正の参考にしてください。
74LS02、バックアップバッテリーの下①
74LS02、バックアップバッテリーの下②
74LS02、バックアップバッテリーの下③
74LS02、バックアップバッテリーの下④
74LS02、バックアップバッテリーの下⑤
74LS02、バックアップバッテリーの下⑥
74LS02、バックアップバッテリーの下⑦
PAL16R6、バックアップバッテリーの下①
PAL16R6、バックアップバッテリーの下②
PAL16R6、バックアップバッテリーの下③
74LS02の下
74LS02、バックアップバッテリーの下⑧
74F32の下
CPUボードコネクタの下①
CPUボードコネクタの下②
・断線箇所の修正
断線箇所を見つけたら修正します。
思いつく修正方法で、2通りほどあります。
・被覆配線で部品リード・ビア間バイパスによる修正
・極細すずメッキ線によるパターン・ビア修正
・被覆配線で部品リード・ビア間バイパスによる修正
基板裏から被覆付き線で配線します。
PC-9801VXの基板のビアは、部品を挿入するためのホール・ランドと同じ構造をしています。
ですので、部品の足-ビア間も被覆配線で容易に結線できます。
幸い、PC-9801VXはそれほど高速な信号を用いていないので、等長配線やパターン切断部での反射による動作不良が起こる可能性が低いです。(信号線の種類によっては動作不良となる可能性があるので注意)
・極細すずメッキ線によるパターン・ビア修正
ビアに0.1mm程度の極細すずメッキ線挿入して、パターン・ビアを修正します。
とても繊細な作業が要求されますが、被覆配線の時に起こりうる非等長配線や反射が起こらないため、結線できれば動作する可能性が高いです。
0.1mmほどのパターンのレジストを削り、はんだメッキしたのちにメッキ線をはんだ付けします。
以下の図に、バックアップバッテリー周りのビアがグラフィックボードのどのピンへ接続されているかをまとめました。
青丸が部品用のランド・ホール、灰丸がビアです。
ビアの名称
A"数字" : グラフィックボードのコネクタのA側に接続
B"数字" : グラフィックボードのコネクタのB側に接続
ND"数字" : ビアまたは部品ランド同士の接続(すべての箇所の結線ではありません。)
無表記 : 結線のチェックをしていません。基板の画像を見て各自チェックしてください。
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