・サウンドボード
お待ちかねのRoland製のサウンドボードです。
Roland 03-SC-R5
SOUND MODULE BOARD
"R5"はリージョンを表しているようです。
ちなみに一世代前の03-SC-R4のサンプリングROMは、SC-8820やSC-D70と同じROMのようなので、同じような音色が出るはずです。
23C640L-541K
23C128L-823J
「Roland R01679978 RA09-002 」東芝 TC203C180AF R01679978 RA09-002 "TG" , "XP6"
TC203Cファミリ セルベースASIC ゲート数:71.8万(3層)、43万(2層)
トーンジェネレータLSIです。TGやXP、XP6と呼ばれています。
Roland SC-8820や電子ドラム Roland TD-6V、Roland XP-30等いろいろな機種に搭載されています。
「EliteMT M11B416256A -25J 100MHz」 EliteMT M11B416256A-25J 256k x16bit 4Mbit DRAM
RA09-002のディレイライン用RAMです。100MHzの主張が強いです。
「MX E082135 Roland R03232656」 MX R03232656
PCMデータが入っています。
SC-8820やSC-D70とは違うマスク番号のサンプリングROMです。
UGA-10に搭載されている03-SC-SAにもこのマスク番号のROMが入っています。
「MX E082433 Roland R03232667」 MX R03232667
PCMデータが入っています。
SC-8820やSC-D70とは違うマスク番号のサンプリングROMです。
UGA-10に搭載されている03-SC-SAとは違うマスク番号のROMが入っています。
ひろみつ氏の解析によると、03-SC-SAはSC-8850相当品であるらしいです。
片方のROMだけ一致している部分がSC-8820とSC-8850の関係と似ています。
SC-8850のサンプリングROMのマスク番号 : 23C128L-823J、23C128L-824K
SC-8820のサンプリングROMのマスク番号 : 23C128L-823J、23C640L-541K
03-SC-R4のサンプリングROMのマスク番号 : 23C128L-823J、23C640L-541K?
03-SC-SAのサンプリングROMのマスク番号 : R03232656、R03902834
03-SC-R5のサンプリングROMのマスク番号 : R03232656、R03232667
03-SC-R4と03-SC-R5の違いはマスクROM周りでレベル変換をしているようです。
データバスは抵抗分圧、アドレスは74LV245Aでレベル変換をしています。
03-SC-SAもレベル変換回路が見られます。
マスクROM周りでレベル変換をしている音源モジュールはSD-80やSD-90などが該当します。
ここまでで推測すると、実際にROMの内容を比較するまで何とも言えませんが、サンプリングROMのR03232656とR03232667は23C128L-823Jと23C640L-541Kの低電圧版の可能性が高いです。
SCシリーズの音源モジュールの多くのマイコンの構成は主に2種類に分けられます。
・日立H8/510 + 三菱3888
・日立SH2 7016や7017、7034等
SC-8820のマイコンはSH2ですが、03-SC-R5はH8が使われている部分に違いがあります。
SH2を使わない何かしらの理由があったのでしょうか…
H8/510 + 3888の方が安く作れたのかもしれませんね。
「BOSS R15239206 MB87837」 富士通 MB87837 "EFX"
SC-88Proでおなじみのインサーションエフェクトチップです。
「EliteMT M11B416256A -25J 100MHz」 EliteMT M11B416256A-25J 256k x16bit 4Mbit DRAM
インサーションエフェクト用RAMです。
「Roland R00232667 150」 三菱 M38881M2 3888グループ 740ファミリ 8bitマイクロコントローラ
RAM : 240Byte
ROM : 8kByte
3ch UARTやデュアルポートRAMを内蔵しています。
H8/510にはUART受信回路が無いため、代わりこのマイコンがMIDIの受信を担当します。
SC-88も日立H8/510 + 三菱3888の構成です。
このR00232667にはもう一つ役割があり、キースイッチのスキャンも担当しています。
もしかすると、キースイッチを接続することで何かしらの操作ができるようになるかもしれません。(H8/510側のプログラム次第ですが)
「H8/510 HD6415108F10V」 日立 HD6415108 H8/510 500コア H8 16bitマイクロコントローラ
音源制御用マイクロコントローラです。
「F 29F800BA-70PFTN」 富士通 MBM29F800BA-70PFTN 1M x8bit /512k x16bit 8Mbit フラッシュメモリ
音源制御用マイクロコントローラ用のプログラムメモリです。
「NEC D43256BGU-70LL」 NEC μPD43256BGU-70LL UPD43256BGU-70LL 32 x8bit 256kbit SRAM
音源制御用マイクロコントローラ用のRAMです。
・MIDI音源モジュール化の改造
既に出回っている情報のため、あまり詳しくは書きません。
基本的にSC-8820の音源周りを取り出した基板です。
MIDI入力は2系統あります。1系統あたりの最大トラック数が16chなので合計32ch分のトラックがあります。
・03-SC-R5のコネクタ周りの回路図
03-SC-R5音源ボードには14ピンのコネクタが1つ付いています。
この端子には電源、MIDI入力2系統、MIDI出力1系統、シリアルサウンドデータ出力2系統、リセット入力が含まれます。
03-SC-R5のコネクタ周りの回路図
・DAC周りと出力系統について
・DAC
DACが内蔵されていないため、別途DACを用意する必要があります。
DATA_Dの出力フォーマットは20bit後詰めMSBファーストの2'コンプリメントです。
SC-8820で使われているPCM1716やSC-8850で使われているAK4324が利用できます。
これらのDACを使うことで、03-SC-R5を無改造でMIDIモジュール化ができます。
・出力系統
03-SC-R5にはDATA_CとDATA_Dの2系統の出力があります。初期状態ではDATA_Cのみ出力されます。
SC-8850等では、ライン出力がOUTPUT1とOUTPUT2の2系統(L1, R1, L2, R2)あり、システムEXメッセージで出力先を変更できます。
03-SC-R5でも同様に出力先変更メッセージでDATA_Dへ出力が可能です。詳しくはSC-8850の日本語マニュアルのP.61を参照してください。
ただし、DATA_CとDATA_Dのフォーマットに違いがあるようです
DATA_Dの出力フォーマットは18bit後詰めMSBファーストの2'コンプリメントの可能性が高いです。
20bit後詰めMSBファーストの2'コンプリメントのDACを用いるとノイズ混じりの音が出力され、16bit後詰めMSBファーストの2'コンプリメントのDACを用いると、音量を上げた時にクリップします。
18bitDACが使えるメリットもありますが、MIDI内にシステムEXメッセージを組み込む必要があるので、通常は使用しません。
18bitといえば秋月電子のお楽しみ袋に入っていた謎のSONY DACが使えそうです。
出力先変更システムEXメッセージ
//ch1~ch16をDATA_Cへ出力
F0 41 10 42 12 40 41 21 01 5D F7
F0 41 10 42 12 40 42 21 01 5C F7
F0 41 10 42 12 40 43 21 01 5B F7
F0 41 10 42 12 40 44 21 01 5A F7
F0 41 10 42 12 40 45 21 01 59 F7
F0 41 10 42 12 40 46 21 01 58 F7
F0 41 10 42 12 40 47 21 01 57 F7
F0 41 10 42 12 40 48 21 01 56 F7
F0 41 10 42 12 40 49 21 01 55 F7
F0 41 10 42 12 40 4A 21 01 54 F7
F0 41 10 42 12 40 4B 21 01 53 F7
F0 41 10 42 12 40 4C 21 01 52 F7
F0 41 10 42 12 40 4D 21 01 51 F7
F0 41 10 42 12 40 4E 21 01 50 F7
F0 41 10 42 12 40 4F 21 01 4F F7
この出力先回りの回路はSC-8850やSC-8820とは少し違いますね。
RA09-002が入ったSC-8850は、DATA_CとDATA_Dどちらも24bitの出力のようです。
また、SC-8820は、DATA_Dのみ20bitの出力しているようです。
出力フォーマットはどうやらRA09-002の内部レジスタのセット値で決まるようです。
ちなみにRA09-002には多くのシリアルオーディオ入出力端子があります。
-入力-
SDIA0~SDIA5
SDIB
-出力
SDOA0~SDIA5
SDOB
SDOC
SDOD
SDIA0~SDIA5とSDOA0~SDIA5は、主にRA09-002を2個連動させた場合に使います。2個のRA09-002のSDIA0~SDIA5とSDOA0~SDIA5を相互に接続します。
SC-8850や03-SC-SAで見られる構成です。
また、SC-8820の場合、SDIA5にインサーションエフェクトチップMB87837の戻り音声シリアルデータを入力しています。
SDIBは、SC-8850の場合、インサーションエフェクトチップMB87837の戻り音声シリアルデータを入力しています。
SC-8820の場合は未使用です。
SDOBは、SC-8850の場合、未使用です。
SC-8820の場合、インサーションエフェクトチップMB87837へ出力しています。
SDOCとSDODは、主にDAC出力で使われます。
SC-8850の場合、片方のRA09-002のSDOCとSDODは2個のDACへ、もう一方のRA09-002のSDOCはインサーションエフェクトチップMB87837へ出力し、SDODは未使用です。
SC-8820の場合、SDOCはDACへ出力し、SDODは未使用です。
Rolandの製品ではSDOCとSDODの片方しか使わない場合、SDOCを使う傾向があります。
モードセレクトジャンパ抵抗R240、R242、R239、R241
蛇足ですが、03-SC-R5音源ボードには謎のモードセレクトジャンパが存在します。
H8/510の70番ピン(P5-5)と71番ピン(P5-6)がそれぞれ、モードセレクト入力として用意されています。
設定はジャンパ抵抗R240、R242、R239、R241の実装の有無で行います。
P5-5 : H(R240), L(R240)
P5-6 : H(R239), L(R241)
デフォルトではP5-5 : H(R240)、P5-5 : L(R241)となっています。
H8/510が使われているSC-88などは、ジャンパが用意されておらず直接パターン接続となっています。
このジャンパを変更すると何かが起こるかもしれませんね。
実験はしていませんが、DACのフォーマットなど変更出来たらうれしいです。
・リセットピンついて
03-SC-R5のリセット端子は未接続でもかまいません。03-SC-R5内部でコンデンサとシュミットトリガインバータを使った簡易リセット回路が入っています。
ただし、13番ピンのリセット端子を常に+5Vに接続した場合、うまくリセットがかからないので、未接続か遅延時間付きリセットICを使ったリセット回路を用意すると良いでしょう。
・MIDIモジュールの回路例
DACはたまたま手持ちにあったPCM1728を使っています。そのままPCM1716と置き換えができます。
DAC周りの回路はSC-8820を参考にしています。
MIDI-OUT周りの回路は特に試していません。
DAC基板を別に用意するのが面倒ですが、03-SC-R5音源ボードに手を加えずに音が出せるので、比較的簡単にMIDI音源モジュールが作れます。
SC88
SC88PRO
SC8820
SC8850
88PRO
8820
8850
disassembly
disassemble