BMB 家庭用カラオケ マイクボーイ MB-100 の分解とMIDI音源モジュール化への改造
注意:この記事の内容を鵜呑みにし、事故や損失を招いた場合でも当方は一切の責任は負いかねます。自己責任でお願いします。
電子機器分解シリーズです。
本機はマイク型の家庭用カラオケマシンです。
マイクの柄の部分に装置を詰め込んでいます。
演奏データが入ったCFを取り付けることで、曲の変更ができます。
この手のカラオケマイクは類似品が多くあり、中身がほぼ同じということも多くあります。
家庭用パーソナルカラオケ装置の成熟期でもあり、各社構成はあまり変わらないことが多いのです。
いくつかのカラオケマイクを分解した傾向として、次の4種類の内部構成に大別できます。
1. 映像DSPと音源専用チップを別々に用意しているタイプ
2. DSP 1つで映像と音源を担当するタイプ
3. 映像処理チップ、音源専用チップ、プロセッサが独立もしくはカスタムチップ化しているタイプ
4. Bluetoothでスマホと接続するタイプ。マイク本体には音源や映像処理チップはなし
スマートフォンが普及してからは4の方式が多いです。テレビに接続(コンポジット)するカラオケマイクの場合は2の方式が主流です。夢グループのカラオケマイクが2に該当します。
1...オンステージ系
2...パナソニックDO KARAOKEや夢グループカラオケ一番
3...タカラe-kara(XaviX)
音源専用チップを別途用意しているカラオケマイクには高確率でdream社の音声処理DSP(夢チップ)が入っています。MIDIの信号を流せばそのまま演奏できるので、MIDI音源モジュール化の改造狙いとして良さそうです。
音源専用チップを用意していないカラオケマイクはそのままの状態だとMIDIの受信ができないので、ファームウェアの解析&改造が必要になります。
専用ACアダプタ : DC6.3V
「VSK-M1002 NSW F01050101」 詳細不明 メインDSP
音声処理以外を担当しているDSPです。
「dream SAM9707」 Dream SAM9707 Sntegrated Sound Studio 64ポリ エフェクト付きサウンドシンセサイザ
外付けの音色サンプリング波形ROMを用意するだけで演奏できます。
一部のPC用サウンドカード(97PnP2等)にも採用されているようです。
カラオケの伴奏や効果音を担当しています。
基板を軽く調べたところ、DSP→SAM9707への演奏データの受け流しはMIDIでした。
後述の改造を施しSAM9707の25pin(MIDI IN)に任意のMIDIデータを流したところ、任意の曲を演奏できました。
音質はまあまあ(オンステージGSS2133-TS2Mと同様ピアノの音色はいまいち)ですが、少しの改造でカラオケマイクがMIDI音源モジュールになります。
素の状態ではリバーブが強めです。
当時のカタログページ
「TOSHIBA TC55V16256FT-15」 TOSHIBA TC55V16256FT-15 256kW x 16bit / 4Mbit SRAM
「MX M010791 VSK-FONT」 MX 詳細不明 MaskROM
メインDSPへ接続されています。
歌詞表示用のフォントが入っているのでしょうか?
「062 0G9 JRC」 JRC NJM062 2回路入りJ-FET入力オペアンプ
「BB PCM3001E」 BB PCM3001E 18bit ステレオ ADC / DAC
「324 0232B JRC」 JRC NJM324 4回路入りオペアンプ
「BA7230LS」 ROHM BA7230LS NTSC エンコーダ
「2246 0046G JRC」 JRC NJM2246 3入力ビデオスイッチ
「MX M010816 VS」 MX 詳細不明 MaskROM
SAM9707へ接続されています。
音源のPCMデータとSAM9707のファームウェアが入っています。
「ISSI IS61LV256-15J」 ISSI IS61LV256-15J 32K x 8bit 256kbit SRAM
「TOSHIBA TC55V16256FT-15」 TOSHIBA TC55V16256FT-15 256kW x 16bit / 4Mbit SRAM
「MT 28F400B5 -8 B E」 Micron MT28F400B5 512k x 8 / 256k x 16bit / 4Mbit Flashメモリ
メインDSPのファームウェアが入っています。
・MIDI音源モジュールへ改造する
SAM9707 MIDI音源モジュール化への改造をしてみました。
SAM9707を使ったパーソナルカラオケ(カラオケマイク、メーカ問わず)であれば、この改造と同様な手順でMIDI音源モジュール化できると思います。
2か所のパターンカットおよび結線が必要になります。
①メインDSPとSAM9707間のチップセレクトとMIDI INパターンを切断する
SAM9707の25番ピンがMIDI IN、134番ピンの/CSです。
チップセレクト端子は常にHレベル固定にしてメインDSPからのコントロールを防止します。これをしないとMIDI IN端子からの入力ができなくなります。
メインDSPの51番ピンがチップセレクト
積層基板なので、パターンカットできる場所が限られてきます。
おすすめはメインDSP側をカットすることでしょうか。
メインDSPの122番ピンがMIDI INと接続
➁MIDI受信まわりの回路を追加する
マイク内にスペースが余っていればMIDI受信まわりの回路を入れ込むことができます。
Z-PK11G(S)の場合、隙間が少しあったので、そこにフォトカプラなどを入れ込みました。
フォトカプラはPC900などを推奨していますが、立ち上がりと立ち下がりが遅いフォトカプラでもとりあえず動作します。
今回はその辺にあった表面実装のPS2503-1を使いました。
ビアのレジストを削り、SAM9707 134番ピンのチップセレクトは1kΩを介してプルアップしています。~100kΩまでのお好きな抵抗を入れると良いでしょう。
ちょうど近くに3.3Vの電源があります。
ポリウレタン線でフォトカプラまで配線を伸ばします。
以上で、改造が完了です。
電源ONの後、しばらくするとMIDI入力を受け付けます。
ミニジャック端子から音声信号が出力されていれば成功です。
オンステージとは違い、オートパワーオフ機能がないのでおすすめです。
特殊なエフェクトや内部パラメータの変更は、MIDIのコントロールチェンジを利用します。
NRPN(コントロールチェンジ番号High:63h, Low:62h)に変更したいパラメータの種類14bit、データエントリ(06h)にパラメータ7bitをセットします。
dreamチップの場合、コントロールチェンジNRPNのHigh:63hには37h、Low:62hには00h~2Ehをセットします。
コントロールの内訳は「97PnP2 Audio CD Quality Professional Sound Studio User Guide」に記述されているので各自調べてください。
・関連記事
/*検索エンジン用単語リスト*/
MB100
MB 100
ATSAM9707
音源IC
karaoke
disassembly
disassemble
0 件のコメント:
コメントを投稿